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たまてぼっくす

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世界/アナザ−ストーリー

平安時代に雪が降った時、中宮定子に「香炉峰の雪はどうかしら」と言われ、清少納言がさっと簾(すだれ)をあげてほめられた
というのと、
現在あちこちで「想定範囲内ですから」とライブドアの社長の真似をしているのとは、構造的には同じ状況だと思うのです。

知識を共有していることを前提とした共感。

そういうのは歌舞伎には非常に多くて、たとえば「曽我兄弟の仇討ち」
という仇討ち事件が鎌倉時代にあって、超有名な話だった訳です。

で、盛んに「曾我もの」が上演されるのですが、いつも同じだとつまらないので、寅さん映画みたいに、どんどん別バージョンの話を作って上演します。
でも、一応曾我兄弟が親の敵討ちを目指している、という前提は同じです。こういうのを「世界」といいます。

例えば歌舞伎十八番の一つ、助六も「曾我もの」です。
曾我兄弟の弟、五郎が助六と名を変えて家の宝の刀を探しているという話なのですが、舞台設定がなぜか江戸の吉原で、助六は日本一のいい男で、花魁にモテモテという、「水爆の落とし子でおそろしい怪獣だったゴジラが正義の味方になった」みたいな大変身を遂げているのです。でも、面白ければそれでいいの。

他にもお染久松は心中の道行きの途中にやたらいろんな人にお説教されてるし、四谷怪談は忠臣蔵の裏話だし、まるでウェブ上にアニメやドラマのアナザ−ストーリーが百花繚乱しているがごとしです。

人間考える事はかわらないですね。
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by urasimaru | 2005-03-29 16:06 | 歌舞伎について考えた事 | Comments(0)

「海老蔵そして團十郎」関 容子

関 容子著「海老蔵そして團十郎」という本を読んでいます。
本当は読み終わってから感想を書こうと思っていたのですが、読むのがもったいなくて、時間がかかりそうです。一章一章が丁寧に作られた和菓子の様に味わい深い感じがして、間を置きたくなるのです。
関容子という人は「花の脇役」を最初に読んだせいもあり、一般に知られない地味な立場の人への目配りのあたたかさを強く感じます。また、歌舞伎に詳しいだけではなく、人の話を聞くのがとても上手なひとなんだろうなと思います。
「海老蔵そして團十郎」は、十一代目市川海老蔵襲名までの成田屋三代の物語ですが、読んでいて役者のおもての下の「にんげん」の体温が暖かく立ちのぼってくるような感じをおぼえます。
図書館で借りているのですが、買っちゃおうかなあ。(でも写真がもっと欲しいな〜そのうち写真集買うだろうしなあ。ジャックの自伝も欲しいんだよなー。)
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by urasimaru | 2005-03-28 16:05 | | Comments(0)

あらためて盛綱陣屋あらすじと批判

佐々木高綱と盛綱(勘三郎)は、兄弟ながら敵味方となって戦ってます。
盛綱の息子小三郎(宗生)が、高綱の息子小四郎(児太郎)を捕らえました。その小四郎を渡せ、と高綱方の和田兵衛(富十郎)が盛綱の陣屋へやって来ますが、「自分の一存では」と盛綱が断ると、大将時政(我當)に直談判をしに出て行きます。
盛綱は老母微妙(芝翫)に、「弟高綱が、親子の情に迷って武士としての心の迷いを見せることがないよう、小四郎を切腹させて欲しい」と頼みます。時政は小四郎を生かしておいて高綱をこちらの陣営に引っ張りこもうともくろんでいるのです。微妙は孫を哀れと思いつつも引き受けます。

陣屋の外に小四郎の母篝火(かがりび、福助)が小四郎に会いたい一心で忍んで来ます。篝火は矢文を陣屋に打ち込みますが、盛綱の妻・早瀬(魁春)が見つけ、篝火をさとす内容の矢文を打ち返します。

母が来ているのを感じた小四郎が奥からでてくると、祖母微妙は「父の名誉のために切腹するように」言い聞かせますが、小四郎は「父母の顔を一目みるまでは」と逃げ惑います。そうこうするうち、高綱討ち死の知らせが入り、時政一行が来て、盛綱に高綱の首実検を命じます。

盛綱が首桶のふたを取ると、様子をみていた小四郎が「ヤァ父様」叫び刀を腹に突き立てます。しかし首は真っ赤な偽物。
盛綱は驚きの中、全てが再起を図ろうという高綱の策略で、(わざと捕まった)小四郎が後を追って切腹する事で、偽首を本物にしたてようとしているのだ、と悟ります。父のために命をかけた小四郎のため、味方を裏切って「高綱の首にまちがいなし」と断定します。時政が、褒美に鎧櫃を置いて引き上げるやいなや、盛綱は身を潜めていた篝火を呼び出し最後の別れをさせて、潔く命を捨てた小四郎を誉めます。
盛綱は主を裏切った詫びに切腹しようとしますが、隠れていた和田兵衛が現れ、鎧櫃の中にひそんでいた時政の家来を殺し、「今切腹しては、偽首がすぐにばれてしまい、小四郎の死は無駄になってしまう。高綱が改めて挙兵するまで切腹を思いとどまるのが小四郎のため」と説得します。
盛綱は切腹を思いとどまり、和田兵衛と戦場での再会を約束するのでした。

この話は真田家をモデルとしていますが、徳川治世ではそのままの名前を使えなかったので、鎌倉時代に設定を変えて、佐々木兄弟の物語となっています。

子供を犠牲にして自分の武士道を全うするというのは現代の私達には共感するのが難しいタイプのストーリーです。さらに、盛綱も兄弟の為に味方を裏切っているのですから、それを裏切るだけの義理と人情のせめぎ合いの中でのギリギリの命がけの選択を納得させる芝居の勢いが必要です。
私としては、勘三郎と福助は演技が大袈裟すぎ、武士の品位に欠ける感じがしました。特に、小四郎との対面を許された篝火が出てくるところでバタバタ足音をたてるのはみっともないと思いました。本当は篝火も高綱のたくらみを承知して協力しているはずなのですが、そういう感じがしませんでした。
また、小四郎は歌舞伎の子役独特の一本調子の高い声で台詞をいうのですが、言い方がゆっくりで間が抜けた感じがしました。

ついでに、このややこしい話を理解するために、池波正太郎の真田太平記でも読もうかしらと思いました。
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by urasimaru | 2005-03-26 16:03 | 歌舞伎 みた | Comments(0)

鰯売りを観に来た客

三月大歌舞伎の夜の部を観て来ました。
盛綱陣屋はいまいちでした。魁春、我當、芝翫の古典的で押さえ目の演技と、勘三郎、福助のオーバーぎみの演技が喧嘩をしてしまっていて、しかも悲劇の要となるべき小四郎の児太郎が下手だからだと思います。
兄の偽首を本物にするために幼い甥が切腹したのを嘆く勘三郎に笑いがおこってしまう。「愛嬌があって人気のある役者で、客が楽しみに来ている、常にほのぼの笑いたがっている。」それが勘三郎の課題なのかもしれません。
和田兵衛の富十郎がすごくカッコ良かった。

仁左衛門の保名。遠景に桜、全体に菜の花の黄色のの背景もとても綺麗でした。「きれい〜」とぼーっとしているうちにおわってしまったので、清元のCDを買ってリスニングをしようかと思っています。

鰯賣戀曳網(いわしうりこいのひきあみ)は文句ありません。皆満足して大笑いでした。
結局それを観に来た人ばかりだったという気がします。

声は盛綱陣屋だけ、主に富十郎にかけましたが、全体に声が硬くなってしまっいました。保名は見とれてたのと唄の間合いが難しく、鰯賣になったら会の方がたくさんかけてらしたので自重。
最初の幕間にブロマイドに夢中になって食事をしなかったら次には食堂がしまっているという致命的な失敗をしてしまいました。(;;)
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by urasimaru | 2005-03-25 16:02 | 歌舞伎 みた | Comments(0)

安徳天皇

大河ドラマ「義経」で、安徳天皇が産まれる前、清盛の妻時子(松坂慶子)が「女子が産まれても男子として育てる」と発言していました。

安徳天皇女性説というのは、結構ポピュラーみたいです(検索すると多い)。

歌舞伎の「義経千本桜」の渡海屋・大物浦では、壇ノ浦の合戦で死んだはずの平知盛、安徳帝、乳母の典侍(すけ)の局が、船宿渡海屋の主人銀平、娘のお安、妻のお柳になりすましていることになっています。知盛は義経に復讐しようとしますが破れて海へ、天皇は義経が保護します。
天皇が娘に変装しているのが安徳天皇女性説を暗示しているという説も読んだのですが、歌舞伎ってもともと男女の区別が曖昧で、弁天小僧みたいなのも出てくるので、お芝居を見てそこまで深いことは考えた事がありません。

歌舞伎でも子役は女の子もします。
「今ぞ知る みもすそ川の 御ながれ 波の下にも みやこありとは」
など台詞が多く、気品も要求される安徳天皇を上手にやっていた印象の残っているのは、女の子が多い気がします。小さいうちって、女の子の方がしっかりしているのかな。
彼女たちはその後どうしてるのかなあ。

大河ドラマで安徳天皇はどの様に描かれるのでしょう。
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by urasimaru | 2005-03-23 16:01 | 歌舞伎について考えた事 | Comments(0)

歌舞伎座に行く格好

私は和服が着られません。また、休憩時感も忙しいので、動きやすい服装、狭くても楽な服装ということで、普段着です。3階的には特に問題ありません。

もし自分が和服で歌舞伎を見られる様な人間だったらいいな、とは思います。でも、そういう習い事とかやれそうな時期には、そのためにかかる勉強代と着物代と時間(何年も着ないとさまにならないだろうし)を考えると手が出ませんでした。今も基本的に自分には縁のナイ世界とおもっています。
自分で着られると、衣装とかも見てもっと楽しめるんでしょうけどね。

ちなみに役者さんは、和服のお客さんがいるほうがうれしいそうですよ。
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by urasimaru | 2005-03-22 16:00 | 歌舞伎の雑談 | Comments(0)

襲名興行

昨日の地震で、つい「博多座」で何をやっているかチェックしてしまいました。
歌舞伎では6月に海老蔵襲名公演の予定となっていたので、その頃にはお芝居の楽しめる状況になっているといいな、と祈っております。

襲名興行は、東京の役者さんだと、まず歌舞伎座からはじまって、京都、大阪、名古屋、博多などの大劇場をまわります。
行く先々では新しい名前になってからはじめての顔見せであり、「襲名披露」なのです。
ちなみに勘三郎の襲名公演の予定。
歌舞伎座(平成十七年三月・四月・五月)
大阪松竹座(平成十七年七月)
名古屋御園座(平成十七年十月)
博多座(平成十八年六月)
京都・南座(平成十八年)吉例顔見世興行

その後、もう少しスケールの小さい劇場で全国をまわります。

その間に休みがあったり東京で普通に出演したりもするので、数年間は絶対病気できないですね。
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by urasimaru | 2005-03-21 15:58 | 歌舞伎の雑談 | Comments(0)

二世(にせ)の契

封建時代だった江戸時代には「親子は一世、夫婦は二世、主従は三世」の縁とされていたようで、歌舞伎の台詞にもよくでてきます。
親子は現世だけ、夫婦は生まれかわって二度、主従は三度という意味で、義理を重んじる様にということでしょう。
「偽勝頼」との恋愛関係を勝頼の母、常盤井に認められて濡衣たちの恋愛は「不義」(親の許さない結婚は不義だったし、職場恋愛も御法度だった)から正式の夫婦に昇華され、そのとたんに偽勝頼の切腹で終焉します。濡衣としては夫婦の二世の契を未来(生まれかわった次の生)に託し、三世の契りであるお家の為に女スパイとして御奉公、となります。

封建時代につくられ、常に権力の目をはばからなければならなかった歌舞伎(権力に都合の悪い時は容赦なく弾圧された)は、他にも「主人の為に子供を犠牲にする」など封建的なストーリーが多いです。

でも、実際観客としては自然な感情である親子の情愛や自由な恋愛を求める気持ちだったのではないでしょうか。そして、思う様に生きられない自分たちの現状と、悲劇の主人公を重ね合わせて涙することで気持ちの解放をしていたのではないかと思います。だから未だに封建的なストーリーがくり返し上演され、すすり泣きが劇場を満たすのではないでしょうか。

二世の契りって今回が二回目だったらどうするんだろうとか、切腹して長々しゃべれねーだろなんて突っ込みをいれてみたくなったりする現代人には、「ついていけない」と思うストーリーもありますが、「芝居の機構」や「役者の芸」を楽しむというのもアリで。
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by urasimaru | 2005-03-19 15:57 | 歌舞伎について考えた事 | Comments(0)

「本朝廿四孝」の感想

小道具の朝顔がどうやってしおれるのかとドキドキしましたが、しおれる間もなく切腹だった!
と、「十種香」しか見た事がなかったので、筋書きでしか読んだ事がなくてピンとこなかった勝頼のすり替えと濡衣の過去がよくわかりました。
「十種香」で勝頼の姿を見て「私ゃ輪廻に迷うたそうな」という台詞が哀れでした。
あと、黒の着付けも女スパイっていうのもあるけど、喪服の心もあるんじゃないかとすっかり濡衣サイドから観ていました。
孝太郎さんは初役だそうですが、全くそう思えなかったです。ここ数年、艶が出てきたなあと思います。「十種香」を見る度、濡衣の人は顔色がいまいちだと思っていたら、赤よりお顔が綺麗に見えるので、お姫様を引き立てるために白粉を薄く塗るんだそうです(監修の芝翫さんの言葉)。

愛之助は物語の要という美しさ、凛々しさを出していました。ジッとしていても、舞台の中心ですから、大変な役どころ。百姓蓑助で出てきて、貴公子に戻るところも良かったです。
時蔵さん、「十種香」は柔らかで、愛嬌がありつつもお姫さまの品がありました。障子を開けたらお香のいい香りが劇場いっぱいに。「奥庭」が健気で赤い着付けから白に早変わりするのもあざやか。花道で「翼が欲しい、羽が欲しい、飛んでいきたい、知らせたい」の台詞の時、お顔からひと粒涙が落ちました。
高校生の梅枝クンが腰元と狐の人形使いでういういしいながらも行儀が良くて先が楽しみ。
やっぱりこういう通しをやるのが国立劇場の良いところ。正味面白いから歌舞伎座でもやればいいのに、と思ったよ。
ただ、歌舞伎座の襲名に大向こうさんが総出で行ってるせいか、声がかからなくてさみしかった。孝太郎さんファンらしい人が1、2人いたけど、最初はしーん。
さみしいのでどぶ(1階花道外)なのに「蓑助登場」(早変わり)とか、道行の幕切れに声をかけたら、上の階の人もすこし張り切ってらして、こっちも段々調子に乗って八重垣姫の柱巻きはよし!とやりました。
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by urasimaru | 2005-03-18 15:57 | 歌舞伎 みた | Comments(0)

国立劇場「三月花形若手歌舞伎〜本朝廿四孝」

八重垣姫 中村時蔵
武田勝頼/蓑作 片岡愛之助
濡衣 片岡孝太郎

自分が書くよりここ
を読んだ方がいいかも。
と思いつつ、とりあえずあらすじ。
「勝頼切腹」「道行似合の女夫丸」「十種香」「奥庭」を通し上演。

「勝頼切腹」
武田信玄(歌六)の館に仕える腰元濡衣(ぬれぎぬ)は武田勝頼と密かに愛しあう仲でしたが、足利将軍暗殺の犯人が捕らえられない事から、勝頼は切腹しなければならないことになりました。
勝頼の母、常盤井(右之助)の願いで、上使・村上義晴(男女蔵)は勝頼の切腹の刻限を朝顔の枯れるの猶予を与えます。
勝頼の替え玉をが探しに行った板垣兵部(吉三郎)を待つ母は、濡衣に勝頼との不義を許すので目の不自由な勝頼を連れて逃げる様に言います。が、義晴に気がつかれ、勝頼は潔く切腹、義晴は首を打ち落として引き上げます。
そこに、勝頼とそっくりの蓑作が到着。勝頼切腹と知って兵部は嘆き悲しみます。実は、兵部は自分の息子を勝頼とすり替え、家を乗っ取ろうとしていたのです。
が、武田信玄はこの企みを知っていて、蓑作とも密かに会っていたのでした。悪事が露見した兵部は信玄に切られます。そして、偽者と知らず愛した「勝頼」の後を追おうする濡衣を止めて切腹。偽者と知らずに死んだ息子のために、長尾謙信の家にある武田家の宝の兜を取り戻す様に頼むのでした。
「道行似合の女夫丸」
蓑作こと本物の勝頼と濡衣は薬売り夫婦に身をやつし信濃へ向かいます。目が治るようお百度まで踏んで愛した「偽勝頼」を忘れられない濡衣の嘆きを哀れに思う蓑作でした。

「十種香」
濡衣は腰元として謙信の息女・八重垣姫(やえがきひめ)に仕えています。姫は、勝頼の許婚。親同士が決めた婚約者とはいえ、切腹した勝頼の絵姿を床の間に掛け、香を焚いて供養する姫。今日は「偽勝頼」の命日と、濡衣も部屋で経を唱えています。そこに勝頼が謙信に賜った裃姿で登場。来世で一緒になろうと思っていた「あの方」にそっくりの姿に心揺れる濡衣。既に死んだと思った許婚が目の前に現れて、動揺する八重垣姫。
一目惚れをした姫は、濡衣にその若者との間を取り持つ様に頼みます。その代償として兜を盗めと濡衣。しかし、全てを見破っていた謙信(彦三郎)は「蓑作」を使いに出し、追手を差し向けるのでした。
「奥庭」
父の計略を阻止して許婚を救おうとする八重垣姫が諏訪法性の兜を手に取ると、諏訪明神の使いである白狐の霊力に守られ、飛ぶ様に氷の張った諏訪湖を渡っていく。
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by urasimaru | 2005-03-17 15:56 | 歌舞伎 みた | Comments(0)